－はじめに
ダンスだけではなく、日常的に運動する人にとって健康管理は非常に大事なことですよね。プロを目指すのであれば、なおさら重要になり、健康管理は仕事の一部といっていいでしょう。
ここでは日常生活やトレーニングの中で特に気を付けなければいけない点を紹介したいと思います。

■"食事・睡眠・運動"を見直そう

言うまでもなくダンサーや他のスポーツ選手にとって欠かせないのが食事と睡眠、そして運動です。しかし食事と睡眠は日常の一部として習慣化していることも多く、特別に意識をしていない人も多いのではないでしょうか。

例えば朝食を食べない人や、お酒が好きで夜遅くまで飲んでしまう人、スマホやテレビを見るため深夜まで起きている人など、それぞれの生活習慣の中で無意識に身体にダメージを与えてしまっているケースが多々あります。
体が資本のプロダンサーとして健康を維持するために気を付けなければいけないことを、食事・睡眠・運動の３項目に分けて述べていきます。

■バランスの取れた食事を心がける

体形維持のために食事を制限している人も多いかとは思いますが、やはり理想は「一日３食」です。私たちの体は食べ物として摂取した物から作られるわけですから、栄養バランスを考えたうえで、しっかり食べることが非常に重要になってきます。

栄養素の中には、たんぱく質、脂質、糖質（炭水化物）の３大栄養素といわれるものがあります。たんぱく質は主に臓器や筋肉、血液などを作る材料となり、脂質と糖質（炭水化物）は主にエネルギー源になります。ダイエットに励んでいる人の中には糖質や脂質を敵対視している人もいますが、これらが不足すると疲労を回復しにくくなり、また、イライラしやすくなるなど脳の働きにも影響を与えます。
過度な摂取は避けなければいけませんが、脂質であれば体重60kgの成人で一日に必要なエネルギーの25％を目安に（2000kcal／日であれば約55ｇ。トーストに薄く塗るバターが約5ｇです）、糖質は60％を目安に（2000kcal／日であれば1200kcal、約300ｇ、60ｇの食パン一枚で約50ｇの糖質です。）摂取するべきとも言われています。プロのダンサーであれば一日に必要なエネルギーも増えますので、摂取する量も必然的に増えます。

また、たんぱく質は日常的に運動をする人にとって非常に重要な栄養素で、肉や魚介類、乳製品や卵などに多く含まれています。アスリートの多くは食事以外にも、トレーニング中にBCAA（分岐鎖アミノ酸）といわれる必須アミノ酸を含んだドリンクをこまめに飲んだり、トレーニング後にプロテインでアミノ酸を摂取したりと、より良質なたんぱく質を摂取することを心がけています。BCAAやプロテインは疲労回復にも効果があるといわれており、摂取することで怪我の予防にもつながるので、プロダンサーにも欠かせない栄養素の一つです。

他にも、ビタミン類や食物繊維などがありますが、いずれも栄養補助食品などで市販されていますので、足りていないな、と思った方は、そちらを頼りにしても良いかもしれません。
栄養素以外では胃腸に負担をかけないために、冷たいものや辛いもの、過度なアルコールなどは極力避けるようにしてください。

■睡眠時間は7時間を目安に

次に睡眠に関してですが、最近では欧州のプロサッカーチームと睡眠のコンサルタントと呼ばれる人たちが契約するほどアスリートには重要視されています。最高のパフォーマンスには良質な睡眠が欠かせない、という証です。

コンサルタントに依頼するほどではなくても、私たちが日常の睡眠で意識すべき点は「時間」と「質」です。アンチエイジング系のホルモンの主役、成長ホルモンは睡眠中に１日の分泌量の約７割が分泌され、そのほとんどが眠り始めの2～3時間に、その後約5時間程度で全身にいきわたり働くといわれています。このことから、睡眠時間は７時間程度で充分と考えている専門家も多くいます。また、脳を休める「ノンレム睡眠」と身体を休める「レム睡眠」の周期的にも７時間が好ましいといわれています。

睡眠の「質」で気を付けたい点は食事と運動との関係です。美容に関わる成長ホルモンは夜の10時から深夜2時までに多く分泌されるといわれているため、午前0時までには就寝したいところです。就寝する時間から逆算して運動や食事をすることが良質な睡眠につながります。負荷の大きい運動や食事は就寝の3時間前までに、就寝1時間前に軽いストレッチをするとよいといわれています。さらには先述のプロテインを就寝の45分前を目安に摂取すると、良質な睡眠に欠かせないセロトニンの合成につながり、さらに成長ホルモンの分泌を助けるともいわれています。
これらを実践して最高のパフォーマンスを目指しましょう！

■適度なストレッチで心にもリラックス効果を

プロのダンサーを目指しているのであれば、トレーニング中やパフォーマンス中に大きな負荷が掛かっていると思います。負荷が掛かった身体には疲労が残り、回復できないままでいると体調不良や怪我につながってしまいます。また、筋肉が柔軟性を失い可動域が狭くなり、良好なパフォーマンスが出来なくなることもあります。そこでストレッチの出番です。ストレッチの効果は柔軟性の維持や向上だけでなく、リラックス効果もあるといわれています。

ストレッチをすることで血流がよくなって疲労物質の排出が促されたり、深呼吸とともに身体をゆっくり伸ばすことで睡眠へのアプローチにもつながります。また、入浴時のストレッチも有効で、38℃前後の入浴で副交感神経を優位にし、睡眠前のリラックス効果をさらに高めたり、好きな香りの中でのストレッチもリラックス効果がアップします。このような心身のリラックスが、先程の良質な睡眠につながり、次のパフォーマンスへと向かっていきます。

－終わりに
プロのダンサーにとって、身体のメンテナンスを心がけることは当たり前のことになってきます。鍛える筋肉によってトレーニング方法が変わるように、食事も考えながら取る必要があります。「疲れたから夕飯を食べて寝る」のではなく、「疲れたから何を食べて、どんなストレッチをして、どのくらい寝る」というように、今後の自分自身のパフォーマンスのためにダンスの練習だけでなく、日常の生活習慣から変えていきましょう！